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飼育者さん

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いきもの相手は大変だけど
やりがいがあります

極力ストレスのない状態で育つ野豚たち。心身ともに健康な豚を育てるためには、飼育者の愛情も不可欠です。毎日、何気なく豚に話しかけながら、豚たちの健康状態やわずかな変化も見逃さない、きめ細かい飼育が日々行なわれています。食用とはいえ、大量生産される飼育方法とは違い、小谷村の野豚たちは1頭1頭に飼育者の目が行き届き、手間ひまかけて大切に育てられます。大事に育てた豚だからこそ、大事にそのお肉をいただく。どれだけ多くの豚たちを育て出荷しても、飼育者の「想い」は決して変わることがありません。

小林 守さん【石坂地区】

小林守さん

俺が毎日トラックに乗って放牧場に行くと、見つけて走り寄ってくるのがかわいいね。でも、車から出てきたのが息子だと逃げちゃうの。日光を浴びて、自然の中を駆け回る。土や木の根っこを掘って遊んで、疲れたら木の下や日陰で眠る。そうやって育つ豚たちは健康そのもの。たくさん運動するからお腹がすくんだろうね。一般的な飼育法の豚よりもたくさん食べるからエサ代は高いけど、その分うまみの強い肉に育つんだ。しっかり締まった赤身はもちろんだけど、野豚のおいしさはその脂身にあるんだ。さっぱりとして甘みのある脂を、ぜひ味わってもらいたいね。

松井 康彦さん【清水山地区】

松井康彦さん

うちの子たちは山ぐるみが大好きで、固い殻もバリバリ割って食べちゃう。僕はズボンのポケットに豚のおやつの煮干しを入れていて、それを覚えてポケットのあたりを鼻で押してくるの。みんな頭がいいよ。定期的に計る成体重量から飼料要求率を割り出して、どの時期にどんな食事をさせたらいいか計算したり、少しでもいいものを作りたいと思って毎年研究を繰り返しているけれど、豚舎で飼うのとは違って山の中を走り回らせている分、事故やケガもあって思い通りにはいかない。生き物相手の仕事は難しいけれど、そのぶんやりがいがあって面白いよ。

浅見 嘉男さん【清水山地区】

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小谷村に単身移住して2年目。野豚を育てる機会を頂けました。見よう見まねで先輩方のやり方を真似していますが、電気柵の張り方一つにもコツが必要で、最初の一週間は、放牧場に出勤する度に豚が柵の外で遊んでいてまいりました。私の放牧場は村道から近く、逃げ出して道路を歩いていると近所の人が教えてくれます。毎日出勤する度に逃げた豚がいないか数を数える日々でした。地域の方の理解と協力を本当に感じつつ育てました。そんな苦労もお世話になった人と育てた豚のトンカツを食べればぶっ飛びます。まだまだこれだけで生活していくのは難しいですが、日々試行錯誤の中でやりがいを感じています。

田原 重男さん【中通地区】

田原重男さん

うちの放牧場は斜面が多くて豚も上り下りが大変じゃないかと思うけど、人がやって来ると斜面を一斉に駆け下りて見にくる姿や、林の中で飛んだり跳ねたりして遊ぶ姿を見るのは面白いね。放牧場を囲っている電気柵のバッテリーが減って電圧が低くなると、1,2匹柵を越えて脱走することがあるの。だけど外に出た豚も時間が経つと、寂しいのかちゃんと柵の中に戻って来るんだよ。それぞれ気ままに遊んでるように見えても仲間意識があるみたいだね。豚を育てている期間は毎日世話しなきゃいけないから家を空けられない。大変なこともあるけど、十何年も続けているのは、おいしいって言われる嬉しさと、やっぱり生き物が好きだからかなぁ。

安藤 尚さん・桂子さん【太田地区】

安藤尚・桂子さん

小谷村に移住してきてすぐに野豚のことを教えられ、食べさせてもらい「こんなに美味しいお肉があったんだ!」という驚きと、珍しい豚の放牧という仕事に興味を持ったので、飼育を始めました。やってきたばかりの子豚はおどおどして豚舎から外に出るのもおっかなびっくり。少しでも早く安心していっぱい遊べるように、飼育期間にあわせて少しずつ放牧場の大きさを拡げています。慣れてきて、自分たちを追いかけてくるようになると可愛くて、あ、子供を育てているみたいだなって。小谷村には名産品も名物もたくさんありますが、その中でも「おたり」の名を冠した名産品を作っていることに喜びを感じています。